長洲通商(有) さま 兵庫県伊丹市森本5丁目105番地 TEL 072(773)8844
| ISO 2007年度版物流企業集 物流産業新聞社発行 |
ISO取得で会社が変わる 長洲通商の取得事例として 同社が掲載 |
兵庫県伊丹市に本社を構える長洲通商(谷有平社長)がISO取得に向けてキックオフしたのは平成16年7月。大手機械メーカーの部品輸送を展開する同社が堅実経営で順調に業績を伸ばしていた矢先、荷主企業の物流子会社設立の情報が谷篤専務(写真)にもたらされる。「その先には、当然、下請け事業者の絞り込みが待っていた」。しかし、工場の軒先へ配送するだけの同業者とは違い、同社のドライバーは配送先工場の製造ラインの場所まで熟知しており、現場で荷主の社員に交じって作業を行っていた。必然的に、「荷主の担当者からは重宝がられており、『長洲を外されたら、我々が困る』という関係を築いていた」という。「本来なら付帯作業の料金も運賃に加算して請求すべきなのだろうが、ドライバーの自発的な行動が、配送にプラスされる付加価値として定着していた」。その積み重ねが効を奏し、荷主の担当者から、いち早く協力会社絞り込みの情報が提供されるとともに、「いまのうちにISO9001を取得しておけば有利」と品質ISOの取得を促される。「正直言って、ISOとは何かすら知らなかったが、生き残りをかけて取得を決意した」。
翌日から同社のISOへの取り組みが始まる。最短期間での取得をめざし、ISOコンサルファーム(現・第三者評価)の吉山浩氏をコンサルタントとして迎え、マネジメントシステムの構築に取りかかった。キックオフミーティングでは、戸惑う従業員に対し、ISO取得に挑戦することになった経緯と意義を説明。「まずは会社の情報をすべて公開し、我々の置かれた状況を共有することから始めた」。「年商はもちろん、荷主別の売上げまで公開し、『顧客(荷主企業)のおかげで給料をもらえる』ということを認識してもらった」。「大袈裟かもしれないが、従業員一人ひとりに経営感覚を持ってもらえる契機となった。利益を出すためには各自がきっちりと仕事をこなすことが大切ということも再認識できた」。
同社は取得活動の開始を契機に、社内体制の整備に取り組む。ドライバーは運行課、倉庫内作業や社内業務は業務課が管理し、それぞれに課長職を設置。リーダー格の従業員を課長に任命する。「マニュアル作成の過程で組織図を書くことになったが、結果的に会社組織として生まれ変わることができた」。これまでは同専務が社内外のあらゆる業務を取りまとめ、指示を出していたが、課長が指示を出す仕組みを構築できたことで、同専務も経営に視点を移すことができるようになったという。
この組織編成は、品質マニュアルの作成でも効果を発揮する。「自主性を尊重し、課長を中心に話し合いを進めさせたことで、会議では『こういうこともマニュアルに盛り込んでいこう』と積極的な意見が飛び交っていた」という。業務課の水田行敏課長は、「これまでは新人は先輩について仕事を覚えていくのが当たり前だったが、配送品質の標準化に取り組んだおかげで、誰でも一定のレベルを保てるようになった。従業員の立場からしても、ISOの取得は非常に良かった」と語る。同課長はマニュアル作成について、「荷下ろし先の場所などに加え、『この配送先では養生材の持ち帰りを必ず担当者に確認する』など、あらゆる業務手順を細かく落とし込んでいった」と胸を張る。また、「当たり前のことだが、『フォークリフトを借りる場合は、先方の担当者に了解を得る』など、馴れ合いになってしまっていることも改めてマニュアルに盛り込んだ」という。
品質マネジメントシステム(QMS)の運用も徐々に定着していった。「最初は戸惑っていた従業員も、記録の作成を重ねるごとに慣れていった」。「以前なら、『会議』なんて言うと気恥ずかしい感じがしていたが、ISOの活動の一環として取り決めたことで、従業員も『きちんとしなければ』という意識に変わっていった」。そして、「次第に、『ISOに取り組んでいる会社で働いている』という誇りも芽生えてきた」という。
同社は、審査機関を物流分野で豊富な実績を誇るロイド・レジスター・クオリティ・ アシュアランス・リミテッド(LRQA)に決定、平成17年12月に審査を受ける。「審査一週間前には、社内でのISO取得への意欲も最高潮に達し、全従業員が懸命に活動に取り組んだ」という。「社内に一体感が生まれ、これまで感じたことのないような勢いがついていた」。しかし、同社は審査員による二次審査で重大な不適合を言い渡されてしまう。「審査員の方との見解の不一致によるものだが、100%取得できると自信を持っていたので非常にショックだった」。「配送先からわざわざ『結果はどうでしたか?』と電話をかけてくるドライバーも多く、不適合を指摘されたことで、社内の雰囲気は最悪になった」という。しかし、「いま振り返れば、入念な準備にも関わらず、ほんの数点の不備のために合格させてもらえなかったことで、改めてISO規格の厳格さを再認識させられた」と同専務は語る。もちろん、数日後の再審査は難なくクリア。はれてISO9001認証取得企業となった。
ISOを取得したことで、「すべての従業員に、『同じミスは絶対に繰り返さない』という意識が浸透してきた」。また、「ドライバーも、『ISOを取得している運送会社のプロドライバー』であることを自負するとともに、それに伴う配送レベルを顧客は要求し、応えていかなければならないと気を引き締め、胸を張って仕事をしている」という。現在、同社では3ヶ月に一度、土曜日に全従業員を集めてミーティングを開き、品質改善活動を推進している。「負担にはなるが、それ以上にプラスになることがある」と同専務は語る。「これまでは事故やトラブルが起きた場合、『緊急会議』として従業員を集め、その事故に関する通達や内容の説明を行っていた。ISOに取り組んでからは、『なぜ、そのトラブルは起きたのか。また、二度と起こさないためにはどうすればよいか。特に、その取り組みは継続して行っていけるのか』と、PDCAを意識した会議を開けるようになった」という。
今後の活動について、谷専務は、「内部監査やマネジメントレビューに、もっとしっかりと取り組まなければならない」と気を引き締めているという。「取得後、1年が経過し、ようやく会社全体に馴染んできた。従業員も率先してISOに取り組んでくれている」とし、「ミスを起こした後に、従業員が、『また是正処置を取らないと・・・』などと愚痴をこぼすのを聞くと、逆にうれしくなる」と目を細める。
ISO認証取得について谷専務は、「取得さえできれば良いと考えていたが、『ISO認証取得』という一つの目標に向かって、全員で活動した経験は非常に意義深かった」とし、「当たり前のことと認識していても照れ臭くて実行できていなかったことも、ISOという道具を使用することでマニュアル化や平準化ができたことは、当社にとっては大変すばらしいことだった」と評価。「今後も、従業員と力を会わせ、QMSを運用し、品質をより高めていきたい」と力強く語った。
<企業データ> 長洲通商有限会社 〒664—0842 兵庫県伊丹市森本5丁目105番地 TEL 072(773)8844
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